借金返済を・・・
少しでも早く終わらせたいと私は派遣会社に登録した〜
その事は前から考えていて夫にも了解は貰っていた〜
登録に行く前はなんか簡単な単発のバイトあったら紹介して貰おう〜
そう簡単に仕事は無いと思うけど登録だけでもしておこう〜
電話して約束の時間に派遣会社の事務所を訪ねた〜
渡された用紙に必要事項書き込んで希望の職種には「簡単な作業」と書き込んだ〜
希望の時間帯も特に無かったから「無し」
希望曜日も「無し」
書き終わって短い面談の後に「体調を崩して急に休んだ人の代わりをお願い出来ませんか?」
そう言われた〜
仕事の内容は簡単な作業だと言う〜
時間は8時間でバイト代は約7,000円だ〜
私は正直に「ずっと働いた事無いけれど大丈夫でしょうか?」
担当者は「大丈夫です」
自信満々に言う〜
一日だけなら何とかなるか〜
そう考えて行く事にした〜
バイト先に着いたら作業服とマスクを渡された〜
作業場に入る前に手洗いやら何やらを念入りにする〜
目だけを出した状態で全身完全防備だ〜
「まずは見ていて」
先輩が作業の手順を説明しながらお手本を見せる〜
何度か繰り返した所で「やってみて〜」
私の担当は生産ラインのとっぱじめの場所だ〜
コンテナから商品の乗ったトレイを台の上に置く〜
私が置いたらすぐにラインの先頭の人がベルトコンベアに乗せる〜
乗せてる間に次のトレイを準備する〜
空になったトレイをコンテナに戻しながら次のトレイを台に乗せる〜
簡単そうに見えて物凄く難しい〜
しかもトレイの重さがかなりのもんだ〜
台の上に乗せるっても適当ではダメだ〜
次の人がコンベアに乗せやすいように場所がキッチリ決まってる〜
また超ベテランの先輩は乗せるのが異常に早い〜
腕は2本しか無いのに商品を4,5個同時に乗せるのだ〜
それもキレイに並べてだ〜
それだけではない〜
その間に不良品を弾きながらだ〜
ヨロヨロとトレイを乗せる作業が始ってたったの5分で右足がつった〜
痛いけれど休むわけにいかない〜
つった右足を伸ばそうとしたら今度は左もつった〜
それでも作業は止められない〜
コンテナは上から下まで20段位だったろうか?
トレイには20個の商品が乗ってる〜
その一台のコンテナをおそらくさばくのに10分かかってない〜
その位スピードを要求される〜
そこから休憩までの4時間は自分が何をやったのか覚えていない〜
途中トレイをひっくり返して商品を床にぶちまけた〜
トレイ出しが遅いせいで機械が何度も止まる〜
機械が止まるわずかな時間に「お水飲んでおいで〜」
そう言われて水飲み場でがぶ飲みしてむせ返った〜
足が痛くて泣きたい気持ちを我慢した〜
時計を見る度に時間が全然進んでないと心の中で嘆いた〜
それらの事をぼんやりと覚えている位だ〜
やっと休憩時間になった時に「きつかったしょ〜」
先輩がそう言った〜
その言葉に素直に「はい」
そう答えたら笑いながら「正直でよろしい〜」
その後の4時間を何とか終わらせて帰り際に先輩に「ご迷惑をおかけしました〜」
「最初はみんなそうだよ」
「お疲れ様〜」
そう言ってくれた〜
次の日は足も腰も痛くて湿布を何枚も貼った〜
家事も何もしないでじっとねっ転がっていた〜
働いてお金を稼ぐって簡単な事では無い〜
このバイトは頼まれても今度は絶対に断ろう〜
私には無理だ〜
だいたい組んでる人に迷惑がかかる〜
そう思っていた〜
それなのに・・・
次の日も行った〜
人が居なくて困ってる〜
そう言われて断りきれなかった〜
どうなっても知らないよ〜
半ばやけっぱちな気持ちで泣く泣くバイトに行った〜
バイト先では先輩が「体は大丈夫だったかい?」
そう聞いて来た〜
「全然大丈夫では無いです」と答える私に周りのみんなも大笑いした〜
それでも二日目は足もつらなかったし痛かった腰もそうでも無かった〜
ラインが止まる事なくスムーズに動いた〜
商品をひっくり返す事も無かったし水を飲んでもむせたりしなかった〜
周りを見る余裕もあった〜
それでも同じ作業を8時間も続けるのはやはりしんどい〜
しんどかったけれど一緒に組んでくれた人達はみんないい人ばかりだったな〜
私と組んだ事でかなりの負担があったハズなのに嫌な顔する人も居なかった〜
それどころか「よく頑張ったよ〜」
そう言ってくれた〜
そう考えたら行って良かったな〜
そんなふうに思う〜
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